「安保関連3文書」の閣議決定に抗議し撤回を求める声明

2023年3月13日    全国首長九条の会

 昨年12月、政府は「安保関連3文書」の改定を閣議決定した。あらかじめ国民に説明し国会で議論することもないまま、国の在り方を根底から変えようとする手法は、行政自ら三権分立を脅かすものとして決して容認することはできない。 

 この3文書は、アメリカの世界戦略に沿って、九州から南西諸島に至るミサイル網の配備など、台湾有事を前提に自衛隊の軍備増強と日米共同軍事行動の一体化を図ろうとするものである。しかし敵基地攻撃能力の保有などは、憲法9条で「紛争を解決する手段として」の戦争を否定した日本が、最初にミサイル等の引き金を引き、相手国民の殺戮を行なうことになる。それは当然報復攻撃を招き、150万の国民が住む南西諸島が焦土と化し、本土の日米軍事基地はもちろん、全国民をも戦火にさらすこととなる。沖縄県内の41首長への調査(琉球新報2月)で、軍事費増額等は賛否2分しつつも、敵基地攻撃能力を持つミサイル部隊の受け入れを表明した首長がゼロとの結果は、太平洋戦争における沖縄戦の痛苦の体験と無縁ではないと推察する。

 ロシアによるウクライナ侵攻が我々に教えるものは、戦争が市民に与える悲惨さ、いとも簡単に人権が踏みにじられる現実、そしていったん始まった戦争の終止符を打つことの困難さである。これらを思う時、まずは戦争の準備よりも戦争をしないための外交努力や国際連帯などに、政府は全力を尽くすべきである。

 さらに、3文書では5年間で計43兆円という軍事費の大幅増が明示された。これでは軍事費がGDP比2%の水準となり、日本は米国、中国に次ぐ世界3位の規模となる。これは従来から政府が示してきた「保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限る」という「専守防衛」さえ投げ捨て、9条に真っ向から反することは明白である。いま物価の高騰、異常な円安、格差社会が進行し、憲法25条の生存権さえ脅かされる中、大増税であれ国債の大増発であれ、また生活予算の削減にせよ、いずれも国民負担の増大によって軍拡財源を生み出す考えも、到底許容し得ない。

「全国首長九条の会」は、市民の生命・財産を守ることが求められる首長及びその経験者によって構成している。そして憲法理念の「基本的人権」「国民主権」、それらの絶対的前提である「平和主義」を掲げた9条擁護の一点で共同した団体である。戦時体制に入るとき、国民の命や権利、尊厳を守ろうとする地方自治体の自治権さえ奪われることに思いを馳せたとき、私たちは政府の誤った選択を到底看過し得ないとの結論に至った。

よって「全国首長九条の会」は、「安保関連3文書」を閣議決定した政府に抗議し、その撤回を厳しく求めるものである。

以上

全国首長九条の会 共同代表

川井貞一(東北6県共同代表・元宮城県白石市長)  

鈴木俊夫(元秋田県湯沢市長)

松下玲子(東京都武蔵野市長)

岡庭一雄(元長野県阿智村長)

平尾道雄(滋賀県米原市長)

井原勝介(元山口県岩国市長)

田中 全(元高知県四万十市長)

稲嶺 進(元沖縄県名護市長)

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