アピール―ロシア軍は直ちにウクライナから撤退せよ(2022年3月11日)

今こそ世界へ日本国憲法前文と第9条の発信を

           

2022年3月11日  全国首長九条の会事務局長 鹿野文永

 2月24日、ロシアがウクライナに侵攻した。当初は、ウクライナ東部のロシア系住民が一方的に独立宣言した2つの地域を独立国として承認し、そこからの要請を口実に軍隊を派遣した。しかし今やウクライナ全土にロシア軍が展開し、原発施設を攻撃するだけでなく、侵攻に反撃した場合核兵器の先制使用すら口にしている。これは第二次大戦後の世界の平和秩序として、「領土の保全」「武力行使の禁止」を掲げた国連憲章の明確な違反であり、「核兵器の廃絶」を求める日本国民の願いを真っ向から踏みにじるものである。

 3月2日国連総会では、ロシア非難決議に7割を超える141の加盟国が賛同した。世界の8,065都市が加盟する平和首長会議は会長コメントを発出し、国内の多くの首長、議会も抗議の意思表明が続いている。

私たちは住民の生命・財産を守ることを最大責務とする地方自治体の長並びにその経験者として、「ロシアは侵略をやめよ」「国連憲章を守れ」「核兵器は禁止」という日本国民の声に、ロシア連邦プーチン大統領が直ちに応えることを強く求める。

 プーチン政権の野蛮な行動は、NATO北大西洋条約機構に加わろうとする隣国ウクライナの動きを、ロシアが脅威と恐れたことが侵攻の動機であり、軍事ブロックの対立から生じた侵略行為と言える。

 90年前、日本は国際批判のなか、中国東北部に武力をもって満州国を樹立し、満州を日本の生命線と位置づけ70万余の軍隊を派遣し、さらに中国全土へ戦火を広げていった。日本はまさにロシアのウクライナ侵攻と同様の行為を中国で為していたことを私たちは想起する。この日中戦争は太平洋戦争へと拡大し、日本の無条件降伏で終わった。

 戦後、日本はこうした反省や教訓を踏まえ、二度と戦争はしない。国際紛争の解決手段として武力を用いないことを世界に誓い、それを憲法9条に明記した。

 しかしいま安倍元首相らは、台湾有事は日本の有事として米軍と一体となっての自衛隊参戦や敵基地攻撃能力の保有、さらにはアメリカと核兵器の共有を議論すべきと主張している。中国の尖閣諸島への覇権主義的な行動や台湾への圧力に対し、日米が軍事同盟を強化すれば、中国の対応もさらにエスカレートし、軍拡競争が過熱することは必至である。「力の論理」はロシアと同じ発想であり、到底紛争解決につながるものではない。

 何よりも戦争は、人を殺し、殺されることであり、その一人ひとりに家族や愛する人がいることを、私たちは想像すべきである。大事なのは戦争準備ではなく、戦争を起こさない努力であり、これこそ戦争から人間の命と平和を守る確かな道だと確信する。

 憲法前文には「日本国民は、…平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と謳われている。私たちはその決意を引き継ぎ、勇気あるロシア国民も含め世界の人びとともに、戦争反対・平和への声を挙げていこう。

                                   以上